第7話(番外編)「ケン、法人作ってたってマジ?」── 好きを仕事にする小学生
第7話「ケン、法人作ってたってマジ?」
ユヅがノートPCを抱えたまま走ってきた。
パパ! 開業届、出してきた! 税務署の窓口で紙1枚書くだけで済んだ
お、早いな。一歩目、踏み出したね
私も物販の準備始めたよ。メルカリで売れてるカテゴリをリサーチ中
二人とも行動早すぎるだろ……
そのとき、リビングの隅でノートPCを叩いていたケンが、画面から目を離さずに言った。
あ、僕は3ヶ月前に法人作ったよ
……は?
……え?
……えっ?
ん? 合同会社ケン。パパ、登記のとき印鑑押してくれたじゃん
……あれ、法人登記だったの? 学校の書類だと思って押してたんだけど
パパ、ちゃんと読みなよ……
ケン、全貌を語る
ちょっと待って。ケン、小学生だよ? 何があったの?
去年の夏からRobloxでゲーム作ってたの。最初はただの遊び。自分が遊びたいゲームがなかったから、自分で作った
それがなんで法人に?
アイテム課金が回り始めて、月10万円超え始めて。パパが”そろそろ個人だと税金きついから、法人のほうがいいかも”って言ったんだよ
……うん、言った気がする
で、ネットで調べて、合同会社を自分で作った。定款のテンプレも登記の書類も全部無料で落ちてるし、法務局に郵送するだけ。資本金は僕のお年玉から10万円。親権者の同意書もつけた
……小学生の弟に、話のスケールで負けてるんだけど
で、今いくら稼いでるの?
先月は売上50万円くらい。Robloxの手数料引いて、手元に入ったのは30万ちょい。新作がちょっと伸びた
……50万!?
……私、バイト前提の話してたの恥ずかしくなってきた

なぜ小学生のケンが稼げたのか
でもさ、普通に考えて無理じゃない? 小学生がゲーム開発とか
それがね、考えてみると意外と理にかなってるんだよ
まずケンは”遊びで始めた”。だから仕事だと思ってない。ストレスゼロ。寝る時間を惜しんで作ってた
楽しかったからね
次に、Robloxは世界中に数億人のユーザーがいる。日本語圏の市場じゃなくて、最初からグローバル。需要が桁違いにデカい
市場規模か。経営的に正しい戦い方だ
そして、ゲームはデジタル商品。一度作れば無限に複製できる。在庫も配送もない。原価がほぼゼロ
サーバー代はRobloxが持ってくれるし
さらに、ケンは失敗しても失うものがない。生活費がかかってない。だから何回でもチャレンジできる
……これ、大人が真似するほうが難しくない?
そう。ケンのやり方は”大人が忘れちゃった戦い方”なんだ

先輩たちはみんなそう ── メトロンブログと伊豆のぬし釣り
パパがよく観てるYouTuberが二人いるんだ。どっちも”好きを仕事にしてる人”の代表
誰?
一人は▶ メトロンブログさん。この人、元々は日本一にも輝いた超一流のダンサーで、世界でも活躍してたんだ
え、ダンサー? YouTuberじゃなくて?
最初はVログ的に日常を出し始めて、趣味の筋トレ動画がバズった。そこから服やアクセサリーを自分でデザインして販売、オートミールやプロテインもプロデュース。”好きな生活”をそのまま仕事にしてる
好きなものが連鎖して全部仕事になってるんだ
しかも映像制作も好きで、映像系のチャンネルは登録者100万人超え。一つの”好き”が次の”好き”を呼んで、それぞれが事業になってる。連鎖してるんだよ
好きって、複数あっていいんだ
むしろ複数あるほうが強い。これが第三則の”収益を一本にしない”だね
次の人は?
もう一人は▶ 伊豆のぬし釣りさん。名前は釣りだけど、今はキャンプ系YouTuberとしてソロキャンプ動画をメインに発信してる
ソロキャンプ?
一人で山や海に行って、テント張って、火を起こして、料理して、寝る。ただそれだけ。でも、その”好き”の深さと映像のクオリティが圧倒的
映像もすごいの?
二人とも、映像がとにかく綺麗。”好き”を伝えるための道具として、映像まで突き詰めてる。だから観てる人の心が動く
で、キャンプから何が仕事に?
好きが高じて、今はキャンプギアを自分でデザインして販売までしてる。好きを突き詰めた先に、ちゃんと事業が立ってる
好きって、武器なんだね
好きの深さが熱量になる。熱量は画面越しでも伝わる。だから人が集まって、その先に仕事が生まれる。これがシン・ミニマリストの第五則、”好きを資本にする”の正体
僕、気づいたら朝になってることあるもん
それは寝なさい

シン・ミニマリストの本質 ── “好き”が原価
ここまでの第1話から第6話で伝えてきた”五則”、覚えてる?
ええと……第一則がブースト、固定費削減
第二則、生活費は原価
第三則、収益を一本にしない
第四則、長期価値
そして第五則は”好きを資本にする”
……ケン、それ全部やってるじゃん
無意識にね。好きだから始めた。好きだから続いた。続けたら資産になった。生活費は親がカバーしてるから、稼ぎはそのまま投資に回せる
浮いたお金でゲーム制作用のPC、もう買ったよ
そう、それが”ブースト”を再投資するってこと。ケンは五則を全部、自然にやってる
……弟に先を越されたの、悔しいけどちょっとカッコいい
でもユヅ姉もキヨ姉も、今日動き出したじゃん。同じだよ
……ケン、今日の名言賞はお前だ

Phase 1のまとめとPhase 2への橋渡し
ここまでの6話で話してきたのは、シン・ミニマリストの”思想”の部分。考え方の骨格
で、次からは?
次からは具体論。まず”ブースト”のフェーズに入る。固定費を削って、時間とお金の余裕を作る話
具体的には?
格安SIM、電気、ガス、保険、サブスク、クレカ、ふるさと納税。全部見直すと、月3〜5万円は浮く
年間にしたら50万越えるね
浮いたお金で、時間を買うか、好きに投資する。ケンみたいに
僕はPCに投資した
私はブログの運営費に使う
私は物販の仕入れに
全員、方向は違うけど、”好きに投資する”という点では同じ。これがシン・ミニマリストのPhase 2

ママのいつもの一言
ママがお茶を持ってきた。
みんな、熱く語ってるけど、ケンは今日の宿題やった?
……あ
……ケン、月30万稼いでても、宿題はやれよ
小学生はつらいよ
経営者の自覚持ちなよ、社長
みんなで笑った。
好きなことやれてるなら、それが一番だよ〜
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